歯科に関するQ&Aのコーナー
Q&AそのT



よく患者さんから耳にする疑問をまとめてみました
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Q1:小学生、中学生にあった歯ブラシについて知りたいのですが、どのような基準で選んだらよいのでしょうか

Q2:肥満と咀嚼は関係があるのでしょうか。何らかの関係があるのでしたら、教えて下さい

Q3:最近キシリトールという甘味料の名前をよく耳にしますが、どういうものですか

Q4:学校で歯科教育用ビデオを昼休み等に放送を使って活用したいのですが、どのようなものがありますか

Q5:初期のむし歯について、家庭ではどのようなことに注意したらいいのでしょうか

Q6:歯列の矯正治療は何才まで可能ですか

Q7:まだ生えてきていない智歯(親知らず)があって、痛みがあります。歯肉を切って、抜歯したほうがよいのでしょうか

Q8:抗痙攣剤を使用している人には歯周病(特に歯肉の増殖)が多いと聞きましたが、関係はあるのでしょうか。また保護者にはどういうアドバイスをしたらいいのでしょうか

Q9:乳歯から永久歯に生えかわる時期、歯ならぴを良くするために気を付けなければならないことはありますか

Q10:歯ぎしりによる歯の健康への害は大きいのでしょうか
    器具を用いての治療は必要でしょうか

Q11:サホライドのう蝕に対する効果について教えて下さい

Q12:「歯を白くする」という歯磨剤を使用しましたが、白くなるのはエナメル質か削られているのでしょうか

Q1:小学生、中学生にあった歯ブラシについて知りたいのですが、どのような基準で選んだらよいのでしょうか

 A:現在、小児、若年向けの歯ブラシは多くの種類が発売されています。一般的には歯ブラシの毛の長さは下の前歯3〜4本分で、歯ブラシの頭部は小さめで、柄は児童の手の大ささにあったものがよいと考えられます。また小学校低学年では歯の位置を捉えやすくするため毛の長さは短めがよいでしょう。また、保護者の方がブラッシング出来ているか確認することも必要でしょう。中学年では歯の舌側や小臼歯をきれいにみがくことも目標となりますので、特に毛先の長さに注意して選んで下さい。また毛の硬さは毛先磨き、描円法等を行うのであれば「普通」のものがよいでしょう。ブランドによって表示の硬さが違うものもありますので、歯列矯正用や、重症の歯周疾患の児童生徒用も含めて、歯科医にご相談なさるとよいと思います。

Q2:肥満と咀嚼は関係があるのでしょうか。何らかの関係があるのでしたら、教えて下さい。

 A:学童期の肥満はここ20年の間に2〜3倍に増加しています。また小児期の肥満の約8割は成人になっても肥満になるという結果が出ています。肥満症のひとは早食いで、ほとんど噛んでいないといわれますが、これは咀嚼する回数が少ないため、十分に満腹感が得られず過食になる結果であると考えられます。食行動の調節は脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢により行われています。食物を噛んだときのかみごたえは歯根膜や咬筋等 の受容器から咀嚼をつかさどる脳の中枢に信号として伝えられます。このとき神経ヒスタミンがこの咀嚼運動に関与しますが、神経ヒスタミンはまた満腹中枢に作用して満腹感を起こさせる満腹物質でもあります。したがって栄養価によってではなく、咀嚼することによって初めて満腹中枢のヒスタミンが分泌され、満腹感を得るわけです。肥満は高血圧症や糖尿病、高脂血症などを併発しやすいので、規則正しい食事時間を守るとともに、よく噛んで食べることにより、過度の肥満を予防することが重要です。

Q3:最近キシリトールという甘味料の名前をよく耳にしますが、どういうものですか。またむし歯を予防する効果はあるのでしょうか。

 A:キシリトールはイチゴやほうれん草などの野菜や果物に含まれている5単糖アルコールです。平成9年4月17日に食品添加物として厚生省より認可されたことによって、現在ガムや錠剤の形でキシリトールを28%から100%含有したものが市販されています。キシリトールはミュータンス菌等の口腔内細菌により発酵を受けないので酸が生成されず、また酸性度が低下したプラークはブラッシングによって落ちやすくなり、その結果として実験室的には約50%のプラーク形成が抑制されます。キシリトールの甘味度は砂糖と同等でカロリーは25%減の2.8Kcal/gです。臨床試験はまだ少ないのですが、他のプラークコントロールの方法との併用、及び歯科治療との併用で効果があったとする報告(JDent Res69(11),1990など)があります。

Q4:学校で歯科教育用ビデオを昼休み等に放送を使って活用したいのですが、どのようなものがありますか。

 A:現在、埼葛歯科医師会で所有しているビデオは主として歯のみがき方についてまとめたものが中心となっています。低学年、中学年、高学年に分けて、それぞれの時期における歯の生え方の特徴とそれにあった歯のみがき方を説明しています。具体的には
   低学年:第1大臼歯、前歯
   中学年:前歯、小臼歯
   高学年:第2大臼歯、犬歯
を中心にしてまとめられています。高学年に対しては歯肉にも着目し、歯肉炎とそれに対する歯のみがき方も説明しています。その他に砂糖とむし歯の関係やおやつの取り方、食生活に関するビデオもあります。また実際に歯みがき指導する際の準備や、2年生、5年生を対象とした、歯みがきの授業の様子を収録したビデオもありますので、参考になるのではないかと思います。 収録時間は、歯みがきの授業の様子を収録したものは38分と長めですが、他は8〜18分となっています。
 貸し出し希望の方は埼葛歯科医師会会員までご連絡下さい。(「
埼葛歯科医師会とは」に会員名簿があります)
 申し訳有りませんが埼葛歯科医師会の地域の方に限ります。その他の地域の方はそこの歯科医師会の学校歯科部にお問い合わせ下さい。

Q5:初期のむし歯について、家庭ではどのようなことに注意したらいいのでしょうか

 A:初期のむし歯として定義されるのは、探針を用いた触診でむし歯とは判定できないが、むし歯の初期症状(病変)を疑わしめる所見を有する歯をいいます。具体的には次のような歯が該当いたします。
@小窩裂溝において、褐色が認められ、粘性が触知されるもの。
A平滑面において、歯質の脱灰を疑わしめる白濁や、褐色斑が認められるが、エナメル質が軟化した実質欠損の確認が明らかでないもの。

家庭での注意事項ですが、すでにむし歯になりかけている状態ですので、まずは歯科医にご相談なさることをおすすめ致します。そして家庭でするべきことは、食後のブラッシング、食事指導(間食の間隔、粘性食品、清涼飲料水等に気をつける)などがあると思います。また歯科医院での予防処置としては、予防充填(シーラント)、フッ素塗布などがあります。初期のむし歯ということで気をゆるめないことが必要です。

Q6:歯列の矯正治療は何才まで可能ですか

 A:通常、不正咬合の矯正治療は、小中学生の頃に受けるのがよいとされてきました。成長期にある小中学生は、大人と比較して歯の移動やあごの骨格の整形がしやすく、また社会的にも矯正装置に順応しやすい時期だからです。一方、成人に対しての歯の移動は技術的には可能ですが、すでに骨格の成長は完了しているため矯正治療のできる範囲は限定されてきます。歯 周病やむし歯に対する対策も若年者より配慮が必要です。また、社会的にも矯正装置が不利になる場合もあります。しかし、咬合の異常や審美性の回復のために、歯列の矯正を希望される大人の方が増えてきています。大人の場合では、矯正治療の可能な範囲を理解し、受診することが重要です。

Q7:まだ生えてきていない智歯(親知らず)があって、痛みがあります。歯肉を切って、抜歯したほうがよいのでしょうか

 A:親知らず(第3大臼歯、智歯)は20歳前後で萌出してきます。この時期ではあごの成長はほぼ完了しており、歯の萌出に伴うあごの骨の成長は期待できません。歯列の奥の狭い所に萌出してくる親知らずは、歯肉の炎症(智歯周囲炎)を起こしやすくなります。歯の萌出に伴って歯肉が押し上げられ、対咬歯が食い込んで痛みを生じることもあります。特に下あごの親知らずは傾斜したり、横になったりして正しい咬み合わせができなくなる場合があります。このような場合歯の一部が露出したままの半埋伏状態や、完全に埋伏した状態となり、隣の第二大臼歯との間に深い溝が生じることになります。この溝には食べかすがたまりやすく、また清掃しにくいことからむし歯や歯ぐきの炎症が起こる場合があります。歯ぐきの炎症が広がると口が開かなくなったり、痛くて咬み合わせができなくなります。局所洗浄と抗生物質の服用によって一時的に炎症症状が軽減したら、原因となった親知らずを抜歯することをお勧めします。

Q8:抗痙攣剤を使用している人には歯周病(特に歯肉の増殖)が多いと聞きましたが、関係はあるのでしょうか。また保護者にはどういうアドバイスをしたらいいのでしょうか

 A:てんかんを含む種々の痙攣発作を抑制するために、抗痙攣薬が服用されています。その中でヒダントイン酸誘導体{フェニトイン)はてんかん治療薬としてよく用いられています。フェニトインの長期服用によって、副作 用として歯肉が増殖する場合があります。この副作用は、特に若年者に多 く見られ、コラーゲン異化作用の抑制によると考えられています。歯肉の増殖は前歯部に起こりやすく、審美上問題になる場合には増殖した歯肉を切除する手術が行われます。歯肉の増殖は、良好な口腔衛生を維持することにより改善されることから、日常の歯みがきや洗口によるプラーク・コントロールと歯科医による歯肉の定期的チェックが重要となります。

Q9:乳歯から永久歯に生えかわる時期、歯ならぴを良くするために気を付けなければならないことはありますか

 A:乳歯から永久歯に生えかわる時期にまず注意しなくてはいけないことは、乳歯にむし歯があるかどうか(むし歯により歯の幅が小さくなっている場合があります)、そして永久歯交換時期なのに乳歯が残っている場合、乳歯が残ったまますでに永久歯が前、後、横から生えてきている場合、又は、反対に早く乳歯が抜けてしまった場合などの原因により、歯ならびが悪くなるおそれがありますので、お口の中を注意して見ていく必要があります。

Q10:歯ぎしりによる歯の健康への害は大きいのでしょうか
    器具を用いての治療は必要でしょうか


 A:精神的なストレスが睡眠中に高まると歯ぎしりがおこると言われています。
 歯ぎしりの行われている時には、咀しゃく筋が日常噛んで食事をしている時より、ずっと大きく収縮して強い力を出します。このため長期にわたって歯ぎしりが続くと上下の歯がすりへって平らになってきます。また異常に強い噛みしめによってあごの関節にも痛みが出てきます。このような場合には、歯科医に相談しましょう。歯を保護する装置を入れて眠ると楽になる場合があります。また精神的なストレス解消にも心がける必要があります。

Q11:サホライドのう蝕に対する効果について教えて下さい

 A:サホライドとは、フッ化ジアミン銀のことで、乳歯う蝕の進行抑制や二次う蝕の抑制、象牙質知覚過敏症の抑制などの治療に使用します。ここでは特に乳歯う蝕の進行抑制の臨床的な効果について説明します。サホライドを2〜7日間隔で3回位塗布することにより、初期う蝕の進行を抑制する効果が認められます。特に乳前歯では、う蝕部が黒色化し目立つという欠点はありますが、ブラッシング指導を平行して行う事により、歯垢の付着が減少し、かなり高い効果が得られます。しかし歯質の実質欠損が大きい部位や、乳臼歯の咬合面など解剖学的形態から食物残渣が停滞しやすい部位の効果は低いので、充填や歯冠修復処置を行った方が良いでしょう。サホライドはあくまでも、う蝕の進行を抑制するものであって、停阻止するものではありません。塗布後もブラッシングを丁寧に行い、定期的な健診が必要でしょう。

Q12:「歯を白くする」という歯磨剤を使用しましたが、白くなるのはエナメル質か削られているのでしょうか

 A:従来の歯を白くするという歯磨剤は研磨剤の粒子の大きさや量を増やすことによって研磨性能を高めたもので、頻回に使用することはエナメル質表面の損耗に影響を与えます。最近ハイドロキシアバタイトというエナメル質の成分と同質のものを含む歯磨剤が話題となっています。これは歯の表面ににあるミクロン単位の傷や亀裂のためにプラークが落ちにくくなっているのを防ぎ、また歯面の白濁等の初期う蝕病巣の再石灰化を促進しようとするものです。これら歯磨剤については実験的にはエナメル質に対して、一般の歯磨剤より摩耗性が高いという結果は出ていないようです。どの歯磨剤についても言えることですが、歯肉が退縮して歯根の一部が露出している歯に対しては歯磨剤は慎重に使用する必要があると考えます。また変色した歯や歯質の元々の色を白くすることはできませんので歯の漂白法やその他の方法を歯科医に相談なさるとよいと思います。

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